変わらないために変わりつづける人について。
インタビューを受ける人について。
どん底にいる人について。
この冬いちばんの
寒波がやってきた先週末。
「致知出版社」が主催する
新春講演会にいってまいりました。
1200人以上の全国の『致知』の読者が
恵比寿のウェスティンホテルに集合。
この、『致知』という雑誌は、
王貞治さんや稲盛和夫さんをもってして
「致知を読む日本人が増えれば、
日本はかならずもっとよくなる」と断言する
それはそれは、志あふれる
「人間学」についての雑誌です。
ぼくなりのことばで、
『致知』の魅力を伝えるならば、
「大事な人にすすめたい雑誌」
「読者であることが誇りの雑誌」
「がんばる人をことばで勇気を与える雑誌」
であり、
この雑誌の掲げる「人間学」とは、
「試練や壁を目の前にしたときに過去に、
それをどう乗り越えるのかを学ぶこと」
だと思っています。
この日は、あの鎌倉・円覚寺の
管長(トップ)である横田南嶺先生、
ノーベル医学賞の大村智先生、
そして、致知出版社の藤尾代表のご講演。
ちなみに、横田先生も大村先生も、
みーんな『致知』の愛読者だそうで。
小学生みたいな感想ですが、
「すっっっごくおもしろかった」です。
たとえば、
「どん底でほほえむ」というお話。
まわりの人から
「若いのに喀血で大変ですね‥‥」
と気の毒そうにいわれた宮沢賢治は、
「私から見えるのは綺麗な青空と透き通った風です」
と答えたそうです。
つまり、井戸の底をのぞく人たちは、
暗闇しか見えないけれど、
どん底にいる彼が見上げた世界には、
綺麗な青空と透き通った風がある、と。
つらいときには、
「こうありたい」「この場から逃げよう」
ともがくよりも、
暗闇だからこそ気づく光を見つめて、
いまのじぶんの役割を果たすこと。
横田南嶺先生は、その大切さを
説かれていたような気がします。
「勇気」というものは、
「過去」から得られるのかもしれない。
そんなことを、
5時間におよぶ講演を
聴いていて思いました。
「未来」は希望だけれど、
ほんとうの「事実」として、
人に勇気を与えてくれることばは、
「過去」にあるのかなぁ、と。
では、そんな「過去」から、
『孝経 開宗明義章第一』にある
この一節をみなさまにおすそ分けして、
ひさしぶりのブログを締めます。
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この体はすべて親から授かったものだ。だから無茶をして傷つけたりしてはいけない。これが孝行の始めだよ。それから世の中に出て正しい道を実践躬行して立派な人格を築き上げ、完成させる。そして亡くなった後も名が人の評判に揚がる。そのときに自分の名だけではなく、父や母の名まで揚がる。これが孝行の終わりというものだ。だから孝行とは、まず親に仕えることから始まり、君に仕えることを経て、人格を次第に完成していき、年をとるほど立派な人物になって天寿を全うしたところで終わるものなのだ。
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(たしかに、よしたに。)
好きなものを書く人について。
「ほぼ日」に登場させていただきました。
よろしければご覧くださいませ。
「好きなものを自由に書いてください」
という課題(テーマ)だったので、
パッと思い浮かんだものは、
「ゴローズ」「ラグビー」
そして、「とんかつ いもや」。
1つめのゴローズは、
昔からの熱狂的なファンたちから、
「おまえが語るな」と言われそうな、
そんな気がしてしまって、断念。
ジャニーズファンでも、ラグビーでも、
「昔からいるファン」というのは、
どうしてこうもsnobなんでしょうかね。
あと、語りだしたら原稿用紙400枚は
(いま、この言い方ってするのかな)
いってしまうので、やめました。
「ラグビー」を題材に書くのも
いいとおもったのですが、
ほかのここに書く人たちのなかに、
サッカーや野球をテーマにする人が
もしかしたらいるんじゃないか、
そうすると、「そのカテゴリー」になって
「どっちのスポーツテーマのほうが面白いか」
ということを無意識に比べてしまう人が
現れるじゃないかと思って消去。
あと、このブログで、
よくラグビーのことは書いているので、
あえてもっと広いテーマにしよう、と。
で、さいごの「いもや」。
これは、神保町にあるとんかつ屋。
とにかく、ここのお店が好きで、
神保町のあたりに用のあるときは、
からなずと言っていいほど、
このお店に足を運ぶ。
なにがいいって、
「うまい!」とか「サービスいい!」とか、
「夏は冷房が効いてて助かる!」とか、
そんなものじゃなくって、
「あそこで過ごす時間」がいいのだ。
私語厳禁。
お店はとんかつを揚げている音と、
揚げあがるまえに「揚げ職人」が出す、
「はい」というサインのみ。
(その合図でもう1人がご飯をよそう)
カップルなどいるわけがない。
そこを訪れた者たちは
カウンターでひたすら、
とんかつと向き合うのだ。
カウンターは木製で、
古いけれど綺麗で味がある。
ソース入れだって、
いつもピカピカに拭かれている。
おなじものを、ずっと大事にしている、
そんな、店内にある個性的なモノたち。
カウンターの向こうには、
千切りされたキャベツ、
業務用のパン粉の大きな袋、
ボールに詰められた卵が
ものすごく丁寧に整然と置かれている。
あと置かれているのは、
積まれた赤いお肉、卵、パン粉、揚げ器、
白米の入った木製の釜のみだけだ。
店員のみなさんには、
一切の動きのムダはない。
とんかつという食べ物が
「ロース肉に卵をかけて
パン粉をまぶして揚げる」
というシンプルなプロセスで
できあがっていく時間を
目のまえで味わうことができる。
メニューはたった2つ。
「ヒレかつ定食」「ロース定食」。
それぞれ千円と八百円。
肉は大きく、ボリュームがある。
そして、もちろん美味い。
それでいて、この価格。
ぼくは、まったくグルメじゃないし、
美味しいものを語る人間でもない。
むしろ、おんなじお店で、
いつもラーメンか、ハンバーグか
回鍋肉定食か、とんかつしか食べない。
食においては、保守的な人間である。
でも、このお店だけは、
ぜひ語りたかった。
神保町にいくときは、
ぜひ、「いもや」へ。
お店にはいった瞬間に、
「ヒレ?かつ?」と
割烹着を着た人に言われるので、
迷わず「かつで」と言いましょう。
‥‥と書いていながら、ふと。
そうだ、「年末年始」も好きだなぁ、
ということに気がついた。
(たしかに、よしたに。)
サンウルブズという人たちについて。
サンウルブズが「スーパーラグビー」で初勝利を飾った。
正午から会社の先輩の結婚式があり、おわってから外苑前にある秩父宮ラグビー場に駆けつけた。
席に着いたのは、後半10分頃。4点差で負けていた。が、まず会場の雰囲気のおどろいた。サンウルブズの開幕戦も観戦していたのだけれど、その時とは、まったくちがう。
まえに観たときは、会場にいた人たちがみんな、高校の入学式の日にクラスメイトと話すようなよそよそさがあった。きっと、運営側もファンも、初めてのスーパーラグビーとの付き合いかたが、いまいちわからなかったのだと思う。
* * *
前回のチーターズ戦は<17-92>で敗戦。この数字だけをみると、「これが世界最高峰のラグビーリーグか‥‥」「なんだ日本代表って強いんじゃなかったの?」と肩を落としてしまっていたファンが多くいると思う。
でも、すこし考えてみると、「そんなことないよ」という見方もある。キーワードは「初参戦」と「アウェー」。
この試合は南アフリカのブルームフォンテーンで行われた。サンウルブズの公式SNSの発信をみると、おそらく試合の前日くらいに現地入りしている。
ウィキペディアによれば、このブルームフォンテーン、標高は1400m。これまたウィキペディアによれば、日本ラガーマンの聖地「菅平高原」とほぼ同じ標高である。
菅平で合宿をしたことのある人なら経験したことがあるかもしれないが、山の登ったその日は、酸素の薄さにカラダが慣れない。空気が薄いからか、やけにキックが飛ぶ。(ラガーマンはその話だけで仲よくなる)
ぼくは記者じゃないので事実を知らないけれど、もしも菅平と同じ標高の地に、前日入りしていたのだとしたら、高地でのトレーニングにカラダが慣れていなかった可能性はじゅうぶんにある。
しかも、そこは菅平とちがって、遠く離れた南アフリカ。きちんと日本食を摂れていたとは限らない。
つまり、もしここに書いた通りだとすれば、選手たちのコンディションは万全と言えなかっただろう。
そのあたりのマネジメントも含めて「チーム力」と言えばそれまでだけれど、やはり、そこは「初参戦」で「アウェー」。ハンディキャップは決して小さくなかったと思う。
* * *
世界最高峰リーグに初参戦してからこれまでずっと連敗がつづき、「なぜ参入したのか」を問うメディアもあった。
選手たちの耳には世間の雑音が入り、先の見えない状況のなかで、どれほど苦しかっただろうか。私たち凡人には想像すらつかない。
それでも、ひさしぶりに我々の目の前に現れたサンウルブズは、まったく諦めていなかった。最後のノーサイドの瞬間まで攻めつづけていた。
ボクシングで言えば、12ラウンド目でもうフラフラなのにそれでも、勝利への執念でずっとファイティングポーズをとっているような状態だった。
そんな選手たちの背中を押すように、秩父宮ラグビー場は、たくさんのファンの声援であふれていた。みんな、「スーパーラグビーで日本が勝利する」という歴史的瞬間を待ち望んでいた。ぼくの隣に座っていたとある選手の家族は、「ここは富士急ハイランドか」と思うくらい絶叫していた。そして、サンウルブズは<38-26>で白星をあげた。
今年のスーパーラグビーが開幕後、「W杯で南アフリカを撃破した日本代表はどうしたんだ?」と思った「にわかファン」の方が多くいたんじゃないか。いや、「にわか」じゃなくても、「けしからん!」とスポーツ紙を叩きつけているオールドファンもいたと思う。
たしかに、サンウルブズは日本を代表する選手たちが集まっているから「日本代表」と言える。ただ、W杯とちがって国どうしの闘いではなく、ラグビー経験者ならだれもが「テレビの向こうの世界」だと思っていた、あの「スーパーラグビー」なのだ。
野球のWBCで侍ジャパンが優勝したからと、読売ジャイアンツが大リーグに参戦したようなモンなのだ。‥‥ン。「それはちがうぞ」という声が聞こえてきましたが、とにかく「すげえ奴らと闘っている」のである。
* * *
もちろん、闘っているのは選手たちの生身のカラダ。その質量・動きが、試合の結果を左右しているだろう。けれど、天候や標高、土地やスタジアムの雰囲気、すべてのあらゆる環境が結果を支配しているんだな、と実感したような今日のジャガーズ戦だった。
昔に読んだ『強い者は生き残れない』(著・吉村仁/新潮選書)という本に、「強い者が生き残るのではなく、変わりつづける環境に適応した者が生き残る。その最も有効的な手段のひとつは他者と共存することである」というような内容が(うろ覚えです)書いてあった。
きっと、そうなのだ。「強い」とは、誰かを打ち負かすことではなく、勇気をもって弱き人たちの先頭に立って、変わり続ける環境のなかで、協力していけることなのだろう。それはつまり、多くの人に「愛されていること」なのだろう。
サンウルブズ。「強い」ぞ。これからが、もっと楽しみだ。
この日の勝利のニュースが日本じゅうに行き渡って、ひとりでも前向きになれる人が増えますように。
(たしかに、よしたに。)
こちらは秩父宮ラグビー場に来るまえの結婚式。
めでたい日でした。(会社の仲間たちと)
「なんのために勝つのか」を考える人について。
ラグビー日本代表の大躍進を受けて、
どこかの出版社が「売れる!」と思って
つくられた本ではないことは、
本文を読んでいればよくわかる。
「売れるかどうか」よりも、
熟成された言葉だからこそ、
「正直に言えば、自分でもなぜキャプテンなんだろうと思うときがある。僕自身、キャプテンに向いていると思ったことはない。」(p13)
高校・大学・社会人・日本代表でも
キャプテンの座につくほどの人だから、
もちろん謙遜もあるのだろう。
ただ、誤解をおそれずに言えば、
実際にご本人とお話した時の印象は、
とびきりのカリスマ性で
人を惹き付けるタイプではないと思った。
ある人物が思い浮かんだ。
人物というか、キャラクター。
この本のタイトルにある、
「なんのために勝つのか。なぜ、僕たちは勝たなくてはならないのか。それは、大義を実現するためである。」(p109)
♪
なにが君の しあわせ
なにをして よろこぶ
わからないまま おわる
そんなのは いやだ!
(アンパンマンのテーマ曲)
この歌詞にある「なに」の答えは、
みずから(日本代表)の大義を、
「日本のラグビーファンを幸せにできる喜び」
「新しい歴史を築いていく楽しさ」
「憧れに存在になること」の3つとした。
「闘う」ということを通じて、
相手を打ち負かすことがしたいのか。
自分が賢くエラいと思われたいのか。
それが、自分のよろこびなのか。
「悪い敵をこらしめること」ではなく、
この「身近」と「遠い存在」の
・しょうもない妄想はさておき、
通称・「 #なん勝つ 」。
ハゲを笑いにする人について。
「にわかラグビーファンです」という人について。
「ルールがわからない」
ラグビーを日本で普及させるときに、
大きく立ちはだかっていたこの壁。
それはもうドバイの建築物くらい高かった。
でも、そんなの関係なかったことが
今回のワールドカップで証明された。
そりゃそうだ。
野球をはじめる少年は、
ルールを覚えてから野球なんてしない。
たのしんでプレーしながら覚えていく。
ルールなんて、あとからついてくるのだ。
正直、ルールなんてわからなくても、
たのしめちゃうのがラグビーだと思う。
(もちろん覚えたらもっと面白い)
ラグビーは、実はものすごく
「自由」なスポーツなのだ。
(ゆえに「規律」や「判断」が求められる)
バスケよりもコートが広い。
サッカーとちがって手も使える。
バスケみたいにドリブル不要。
野球みたいにポジション固定なし。
アメフトみたいに攻守の切り替えなし。
卓球やテニスみたいに道具は不要。
あらゆる球技で最も人数が多い(30人)。
ボールを持ったら自由に走っていい。
そんなシンプルなスポーツ、
そうそうないんじゃないでしょうか。
①ボール争奪が常にフェアであること
②危険なプレーをしないこと
③ボールが常に最前線にあること
これらのルールさえ守っていれば
なにをやるにしても「自由」なのだ。
ものすごく雑に言ってしまえば、
「自由だけどズルはやめようぜ」
ってこと。
ともあれ、ラグビーというスポーツは、
「観たら面白いスポーツ」。
それが証明されたワールドカップだった。
*
どうしてラグビーは、
これほど国民を魅了したのだろう。
まず、「日本らしさ」があった。
あのジャージがいいんですよね。
ラグビー日本代表のジャージは、
我らが『日の丸カラー』(赤×白)で、
しかも、エンブレムは『桜』。
大和魂をもろに感じます。
あと、応援したくなる「純粋さ」があった。
みんな黒髪なんですよね、選手たち。
W杯から凱旋帰国するときに
空港でサングラスかける人なんて、
きっと誰もいないと思う。
それで好感をもてるせいか、
「カネのにおい」がしない。
モデルや芸能人と交流してるところや、
豪華な生活をしている系のものが、
ほとんど発信されていないんです。
(これからあるかもしれませんが‥‥)
少年のような純朴さがありながら、
お父さんのように大きくて強くて優しい。
そりゃ「カッコイイ」に決まってる。
応援したくなるに決まってる。
さらに、「勇気」をもらえた。
漫画をつくるための企業秘密を書いた、
『荒木飛呂彦の漫画術』という本のなかに
「最も人が感動するのは、人の勇気に触れたとき」
(たぶん合っています)とありました。
ラグビーは、まさにその「勇気」が
必要なスポーツだと思います。
日本代表の選手たちの勇気をみて、
自分も勇気をもらえた、という人が
たくさんいたのではないでしょうか。
(もちろんぼくもそのひとりです)
プレーの選択肢が多いぶん、
『判断する勇気』が必要だし、
タックルのようにカラダを張る
『命を懸ける勇気』も必要です。
だから、観ているほうは、チカラが入る。
「んぁ・・!!」って。
ひと昔まえは「チカラの入るスポーツ」は、
「総合格闘技」だったと思うんですけれど、
年末番組が「お笑い」にシフトしてから、
この「ガチで生身で戦うスポーツ」枠は、
ラグビーが担っていくのではないでしょうか。
(あ、相撲がありますね‥‥まぁまぁ)
「日本らしさ」+「純粋さ」+「勇気」
世界と戦う選手たちのそんな姿をみて、
ひさしぶりに「日本人であること」を
誇りに感じた人も多いのではないでしょうか。
これから、流行語大賞に「五郎丸」、
来年の4月には全国の高校で
ラグビー部入部希望者が殺到して、
日本代表の試合はいつも満員御礼‥‥。
そんな世の中がホントに
やってくるかもしれません。
*
ラグビーというスポーツがやっぱりまだ
「敷居が高い」とか「一部のマニア向け」
と思われているなぁ、と感じるのが、
「にわかラグビーファン」という言葉。
どうか、ルールなんてわからなくても、
「ラグビーファン」を名乗ってください。
それで「知ったかぶりが!」と怒る
ファンやラガーマンはいないと思います。
人生において、なんらかのカタチで
ラグビーに関わってきたほとんどの人は、
「ラグビーの魅力をもっと知ってほしい」
と思っていると思います。
ラグビーは、いつでもオープンです。
いつでも、誰にでも、好きになってほしい。
これは、ラグビーという競技の
特性でもあるかもしれません。
突然ですが、ラグビーを象徴するものは、
なんだと思いますか?タックル、ですか?
「楕円球のボール」であると、
ぼくは思っています(ベタですけど忘れがち)。
地球は丸いのに、ラグビーは楕円なんです。
もしも丸いボールだったら、
持って走りにくかったかもしれない。
ちょうど腕のなかにおさまる形で、
しかも、どちらに転ぶかわからない。
いつでも、誰にでもチャンスがある。
また、ラグビーは軽い反則が起きたあと、
「お互いにとってイーブン」な状態で
プレーが再開されるようになっています。
(先ほどのルールの原則の①です)
つまり、反則をした側にさえチャンスがある。
ラグビーは、どこまでも「フェア」なのだ。
だから「紳士のスポーツ」と呼ばれ、
イギリスのパブリックスクールで、
教育に活かされているのかもしれません。
(実はビジネス界でもたくさん活躍しています)
あと、楕円球だから、
「ひとりで壁打ち」できないんですよね。
壁に向かって蹴ったり投げたりしたくても、
まっすぐボールが返ってきません。
だから、かならず「友達」が必要になる。
ひとりじゃできないスポーツ。
カッコイイじゃないですか。
*
‥‥ラグビー業界への追い風に乗って、
かなり強気に書いてきました。
かつて「学生スポーツ」として
日本中で人気を博したラグビーは、
これから「日本代表を応援するスポーツ」として、
ふたたび熱を帯びていくでしょう。
(いや、そうであっておくれ〜い)
おなじ目標に向かって、
さまざまなバックボーンの人たちが
チカラを合わせて闘っていく。
そんなグローバルな視点も、
これからの日本に必要なことで
ラグビーから学べることだと思うんです。
(ダイバーシティ、っていうんですかね)
つぎのラグビーW杯は、日本開催です。
しかも、来年の2月からは、
日本が『スーパーラグビー』に参戦します。
世界最高峰のラグビーリーグに、
日本がチャレンジして、また強くなる。
(https://super-japanrugby.com/)
なんというタイミングでしょうか。
「にわか」でもなんでもいいです。
みんなで、ラグビー、観に行きましょう。
関係各所からの批判をおそれて
おそるおそる書いてきましたが、
これだけは自信をもって言わせてください。
「ラグビーは、
生観戦が
いちばん面白い」
ビールとおんなじです。
とりあえず生、なんです。
(たしかに、よしたに。)
勝って兜の緒を締める人について。
見知らぬ人に挨拶しつづける人について。
羽田圭介。
この名前をみてピンとくる方、
いらっしゃいますか。
芥川賞の「もうひとり」です。
彼に想いを馳せる日々です。
ちなみに、うちの母が電話で
「ピースまたきちって芸人さんなの?」
と言っていました。
* * * *
つい先日、大阪に本社のある
クライアント先へ出張に行った。
その企業は新大阪駅の
めのまえの大きなビルのなかに
入っていていた。
ビルのエレベーター手前には
天井まである大きな自動ドアがあって、
出入口には警備員が立っていた。
60歳くらいだろうか。
背中の曲がった男性である。
彼の横を、スーツを着た
サラリーマンたちが
勢いよくすれちがっていく。
その男性は、自分を通りすぎる
ひとりひとりに小さな挨拶をしていた。
もちろん、先を急ぐ人たちには、
彼の姿など目にも入っていないのだろう。
だれも会釈には応じていない。
ふと、想像してしまった。
その小柄な警備員の男性が、
自分の父親にみえたのだ。
たまたま入ったビルで、
ビルの警備員をしている父。
たくさんの人たちに挨拶をしている。
けれど、だれの目にも映っていない。
かのようにみえる。
うーむ‥‥
その日は、社長相手の
大きなプレゼンだったので、
この猛暑に東京からスーツを着て
すこし気合いを入れて来ていた。
13時のアポイントまで
まだ15分あった。
ネクタイを締め直すために、
トイレに行こうとその警備員のもとへ。
「スイマセン、お手洗いはありますか」
「あぁ、はい!その奥の左手にございます」
御礼を言ってトイレへ向かう途中、
ビル内のモスバーガーがあった。
お店のまえに大きな広告ポスターがあり、
「モフ、バーガー」に見えた。ホントに。
これは、どうでもいい余談です。
トイレからもどってきて、
一緒にプレゼンに臨むメンバーたちと
エレベーターへ向かう。
その警備員の男性とすれちがう瞬間、
「ありがとうございました」と言った。
そうしたら、しわしわの笑顔で、
「いってらっしゃいませ」
と言ってくださった。
その日のプレゼンは大成功だった。
それとこれとは関係ないかもしれない。
でも、たしかに勇気をもらった。
これまで、実にたくさんの
「はたらく人たち」を取材してきた。
建設業界、IT業界、エンジニア業界、
自動車メーカーの社長・社員たち、
スポーツ業界、地方のモノづくり職人、
ベンチャー企業の社長たち、
老人介護施設の所長、パチンコ屋の店長、
ネット印刷会社、産業廃棄物会社の社長、
東北のために活動をつづけるミュージシャン‥‥
まだまだ挙げればキリはない。
おそらく600人くらい‥‥?
新入社員だろうが、社長だろうが、
どんな業界だろうが、どんな職種だろうが、
どんな給料だろうとも。
自分の仕事に誇りをもっている人は、
まちがいなくカッコイイと思う。
「なんのために仕事してるかわからない」
そう思うときは、だれにでもあるだろう。
でも、取材のときに「仕事のやりがいは?」
と聞くと、異口同音にほとんどの人は、
「ありがとうと言ってもらえたとき」と言う。
はたらく、とは、そういうことなんだと思う。
* * * *
大阪に来ておもったこと、その1。
ふつうに分煙なしで
タバコの吸える飲食店が多い。
大阪に来ておもったこと、その2。
道を教えてくれる人がていねい。
おとなしそうな女性が、
「んもう嘘やろ、ってくらい
真っ直ぐ進んでください」と教えてくれた。
大阪に来て思ったこと、その3。
ビル受付の警備員の挨拶を
平気で無視する人にはなりたくない。
(たしかに、よしたに。)