たしかに、よしたに。

あんな人やこんな人について、考えたことを書きます。すこしでも「たしかに」となりますように。

じぶんの能力を発揮する人について。


後輩であり親しい友人でもあるラグビー選手の布巻峻介シュラスコを食べながら、ぼくの教えている高校ラグビー部の話題になった。

 

布巻

「学院(ラグビー部)はどうですか?」

 

ぼく

「おぉ、ちょっと、このビデオを観て」

 

(先週末の試合のビデオを見せる)

 

ぼく

「課題だと思ってるのが、チームでディフェンスできていないんだよね。敵と1対1の状況でタックルをしちゃっていて‥‥」

 

布巻

「(ビデオを観ながら)ディフェンスをつづけて、しんどくなればなるほど、横の人と話したり、顔を合わせたりできなくなってますね」

 

ぼく

「うん、うん」

 

布巻

「アタックなら、ズバ抜けた能力があれば、ひとりでトライまでいけるかもしれません。でも、ディフェンスは、かならずチームでやらないと止められません。そのためには、まず、『ひとりひとりが、じぶんの、そして味方の役割を明確に理解していること』が大事だと思います。ボールだけ見てたらダメです」

 

ぼく

「あぁ、たしかに(よしたに)」

 

布巻

「どんなにスキルがあっても、人とつながれなかったらダメですからね。やっぱり、いい選手はみんな、周りの人とつながっていて、じぶんのスキルを発揮できていると思います。つまり、コミュニケーションスキルのレベルが高いんです」

 

ぼく

「人とつながることで、スキルが発揮される。なるほど」

 

布巻

「ここのところ、ぼくが大事だなと思っているのが、『聞くこと』なんです。ぼくはもともと、声を出して『発信すること』に意識を向けていたんですが、それだけじゃなくて、両どなりの人の声を聞こうとする姿勢を大事にするようにしています」

 

ぼく

「話すより、まずは、聞くこと」

 

布巻

「はい。聞こう、っていう姿勢がないと、となりの人がどんなに大きな声で呼びかけていても、まったく耳に入ってこないんです。でも、聞く姿勢があれば、普段の声の大きさでもちゃんとコミュニケーションがとれますから」

 

ぼく

「なるほどなぁ。ふだんのコミュニケーションでも大切なことだね」

 

布巻

「あと、学院の子たちは、じぶんたちより強い相手がアタックしてくるのを必死にディフェンスしなきゃ、っていうメンタルなのかもしれません。目の前の相手を止めるのに必死になってしまうがゆえに。『オレたちのチームディフェンスを突破できるもんならやってみろ』くらいの余裕をもつのが大事だと思います」

 

ぼく

「たしかに、格上の相手と対峙するときほど、『守らなくちゃ』ってあせってしまうがゆえに、じぶんの世界に入ってしまって、余裕がなくなっちゃうのかもね」

 

布巻

ニュージーランド代表のダミアン・マッケンジー(177cm 78kgと超小柄ながら世界トップクラスの名選手)がすごいのは、『いつも80%で走っていること』だと思うんです。20%の余裕があるから、パスもキックの選択肢があって、ディフェンスするこっちは迷って足が止まっちゃう」

 

ぼく

「はぁーーー」

 

布巻

「で、その瞬間に100%になって抜けていく。いつも100%で走ってる人なら、120kgの大男でも、コンタクトする瞬間にこっちが先にトップスピードになれば止められますが、余裕のある人は止めにくいですね」

 

ぼく

「でも、それは、80%でも足が超速い人、ってことでもあるね(笑)」

 

布巻

「いや、そうなんですけど(笑)」

 

‥‥と、まぁ、こんな感じで、焼きパイナップルとブラジルプリンを食べながら、ラグビーのことにはじまり、それだけにとどまらないような示唆に富んだ話をして、今日も解散したのでした。

 

(たしかに、よしたに。)

 

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▲「このプリン、ばりうまい!」(布巻)