たしかに、よしたに。

あんな人やこんな人について、考えたことを書きます。すこしでも「たしかに」となりますように。

ハゲを笑いにする人について。

・「ハゲで笑いをとる」
 
 テレビなどのお笑い番組で、
 そんな表現が増えている気がする。
 気がする、だけで、たんに、
 いま売れている芸人さんが
 みんなハゲているだけかもしれない。
 
 もちろん、昔から「ハゲの笑い」はあった。
 「変なおじさん」は、頭のてっぺんが
 まん丸にハゲているから面白いのだ。
 でも、すこし露骨と言えるくらいに
 ハゲを利用して笑いをとる、
 というお笑いが増えたように思う。
 
・すこし前に、人生の半分以上を
 アメリカで過ごしていた帰国子女の
 会社の後輩が、こんなことを言っていた。
 
 「日本人の『デブ』に対する接し方が
  ちょっと信じられません」
 
 いくら自己管理ができていなくても、
 デブに向かってデブというのは、
 立派なハラスメントだと思います、と。
 そういった場面では、
 「アナタ、お腹でてるわね」じゃなく、
 「アナタ、洋服小さくない?」と言うのが
 国際的な感覚なのだと言う。
 
 実にいろんな人が暮らすアメリカでは、
 身体的な特徴をネタに笑いにするのは、
 わりと、けっこうなタブーなのだろう。
 
 その帰国子女の彼女が、
 ハゲで笑いをとっている芸人をみて、
 どう思うのだろう。こんど聞いてみよう。
 
 
・いまは、「音より絵」の時代だと思う。
 
 スマートフォンのおかげで、
 電車でも教室でも職場でも、
 あらゆるところで動画を見たり、
 ゲームをしたりできるようになった。
 
 インターネットというものは、
 「境界線をなくす」ことが得意だ。
 だから、<プライベート>と<公共>の
 境界線もあいまいになってきた。
 
 公共の場でコンテンツを楽しむときは、
 まわりに迷惑がかからないように
 「音」は出ないようにする。
 (イヤホンを持っていないことだってあります)
 
 そうなると、コンテンツにとって大切なのは、
 「音」(声・楽曲)よりも、
 「絵」(文字・見た目・動き)になる。
 
 落語のような「音」の勝負ではなく、
 ハゲという「ビジュアル」の勝負になる。
 
 「Vine」という動画アプリで人気の動画は、
 やはりこの「絵的」に面白いものが多い。
 
 “ビジュアル × 瞬発力”
 
 そんな理由で「ハゲ」のお笑い芸人が
 テレビで重宝されているのかなぁ、
 なんて勝手に考えている。
 
 
・「どんなに面白いVTR素材でも、
 ハゲを笑いにしているのはカットします」
 
 『有吉反省会』など人気バラエティー番組の
 プロデューサーを務める女性と話した時、
 彼女はそんなふうに話してくれた。
 
 「いろんな理由で頭髪がない人もいます。
  1人でも傷つく人がいるならば、 
  それで笑いをとるバラエティーはイヤ」と。
 
 うんうん、とぼくはうなずいた。
 
 「ハゲに気をつかうほうが失礼だ」
 「ハゲがハゲをネタにしているから問題ない」
 
 そんなことを言う人は、
 ハゲてないんじゃないかしら。
 
 
(たしかに、よしたに。)
 
 
※ちなみに、ぼくは、ハゲていません(2015年現在)